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東京高等裁判所 昭和53年(ラ)556号 決定

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

【判旨】

二抗告人(申請人)は、本件仮登記仮処分命令の申請にあたり、その仮登記原因を疎明する資料として抗告人及び被申請人曾我部尊子作成名義の昭和五三年四月二八日付代物弁済等契約書(疎第一号証)、被申請人作成名義の代物弁済を登記原因とする所有権移転登記手続のための前同日付名宛人白地の委任状(疎第二号証)、被申請人作成名義の「証」と題する前同日付書面(疎第三号証)を提出している。

ところで、右の各書類には被申請人住所氏名が記載され、「曾我部尊子」名義の丸印が押捺されているが、これらは被申請人の印鑑証明書の添付もない私署証書であるので、それらが真正に作成されたものであるか否かについて検討する。

疎第四ないし第二〇号証によると被申請人は、抗告人と申請外亜細亜産業株式会社との間の昭和五二年四月二八日付商品売買契約に関し、同会社の債務を担保するため、同日付で抗告人と、連帯保証契約(疎第八号証)及び根抵当権設定等契約(疎第四号証)を締結し、本件申請に係る土地につき右根抵当権設定登記手続を了していたこと、抗告人は、前記会社が昭和五三年二月半頃売掛代金債務未払のまま事実上倒産したので、右根抵当権を実行し被申請人所有の本件土地について同月二二日競売開始決定を得、次いで同月二五日被申請人所有の他の不動産について前記保証債権保全のための仮差押決定を得たが、現在に至るまで被申請人が右根抵当権及び保証債務の存在に異議をとなえる態度に出ていないこと、疎第一ないし第三号証に押捺されている「曾我部尊子」名義の丸印の印影は、真正に成立したと認められる右の疎第四号証及び疎第八号証の被申請人名の脇に押捺されている印影と同一であり、疎第一ないし第三号証は、右の競売手続開始決定及び仮差押決定があつたことを契機として抗告人と被申請人とが保証債務の履行方法等について協議を重ねた後に作成されたものであることが一応認められる。

右の認定事実によれば、疎第一ないし第三号証中の被申請人名義の署名もしくは記名及び押印は、被申請人の意思に基づいてなされたものと推認され、結局本件申請にかかる仮登記の原因である抗告人主張の代物弁済契約があつたものと一応認めるのが相当である。

(外山四郎 海老塚和衛 鬼頭季郎)

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